人面有翼のカラビンカ(迦陵頻伽)の世界は2023年12月に見つけたドドメキ舌状台地を見下ろす景色のスッケッチ(3)を中心に据える構想として、2025年正月、スタディ開始(1)同時に昨年、構想がまとまりかけたものの一旦は手放した「カラビンカ」(2)が双子とともに登場となった。上手には「トックリヤシ」の精ともいうべき二重人物(4)帽子を落とす有翼男(5)中央に下手奥へと向かう空舟たち・・・
1、 2 最初期のイメージスケッチ全体像と2023年カラビンカのイメージ
3 ドドメキ実景 4 市の植物園で見つけたトックリヤシの写生図
6 2025年1/16 ザックリとしたイメージで下絵がまとまる
7 2025/1/17 200cm×350㎝パネルに不織布+μグラウンド2倍に希釈×10回塗り下地
の上に木炭によるドローイング開始。
8-1 2025/1/20 構図をほぼ決定。正面向きの二人の少女は何故か上手に向かい空中を疾駆する。
8-2 下手 カラビンカの二人 8-3 上手 トックリヤシの精
その他、天地逆さの山羊と男、疾駆白馬と若い女などが登場。前景は舞台ないしデッキの板
8-4 当初正面向きだった少女たちはカケスの群れとともにそれぞれ何やら携えて勢いよく
上手へ飛び去る。
1月28日 アウトラインをダイヤモンドニードルで掘り込み#240紙やすり+テレピンで
平滑化、イエローオーカー+リクイン+テレピンで下塗り開始。
9 2月1日 さらにプルシアンブルー、バーントシェンナ、フレンチバーミリオンで全体を地浸透、下塗り終了。
長く取り組んできたバーミリオン、今回は格別な朱の空間、夕景ではない、いつものブルーな下塗りは置かずアルキド水性(アキーラ)と油彩(クサカベフレンチバーミリオン)
但し雪をいただく火山、白いフクロウ馬の頭部は意識的に白い下地を残した。
10 2月13日
しばらく撮影を忘れていたが、遠景の妙義モデルの山並みから描き起こしビーナスの横顔、森の情景が浮かび上がってきた、ルールは球形の広葉樹の木々に三角錐を強調した杉、檜の針葉樹、少しだけ外光を意識,アキーラメディウム+フレンチバーミリオンによる空の塗まで描き進めてきた。
手前の木々は柏、椿、柑橘かも。
11 2月25日
下手手前にカラビンカ、上手にトックリヤシの樹木精がいる、橋とも舞台ともつかない場所から
観客とともに俯瞰、この絵の環境がほぼ整ってきたところで登場するものたちが次第に顕われてくるだろう。
12 2月28日
遠景~中近景ほぼできあがる。
船上の樹木下方は縛られた椿、上方は実を付けた果樹の象徴として柑橘。
手前のカラビンカ顔の向きを変更することにし、画面の手前外に向かうエネルギーが
欲しいので一旦アキーラのテルベルト+ホワイトで塗りつぶした。
13 3月6日
上手の天地逆転のいつもの赤い角の山羊、下手前方の羽を広げたカラビンカ一族に取りかかる、
羽は大分悩んだ末、かなり強い色の対比を意識した。下地にバーントシェナを置きアキーラメディウムで
溶いた水性ウルトラマリンとリクイン溶剤でグレーズしたブロックスのウルトラマリン油彩だ。
空を覆う朱色の世界を見つめる者の象徴として濃紺+白の羽とした。
上方の男女にかぶせる帽子女性は白鳥を思わせる羽毛帽子、男には羽飾りのある中折れ帽、タイトルは「迦陵頻伽=カラビンカ―春風来駕」あるいは「来駕春風―カラビンカ」ではどうか。
緋色(フレンチバーミリオン)と藍色(ウルトラマリン)のど派手な対比がほぼ決まった
14 3月13日
勢いよく上手へ飛び去る双子の少女に取り掛かる。朱のバランスを考え遠景の山、手前の川はウルトラマリン+鉛白に変更、髪が背景に溶け込まないようにここで漆黒の囲い込み、カケス柄のスカーフだ。赤い靴一つで十分と考え青い服の少女は前に伸ばした足を無理やり折り曲げスカートの中に隠した。
青い服の少女が差し出した手の先にあるのは庭で拾ったシジュウカラの巣だったが卵を温めるのはカケス。
目指すは全面焦点画面、そこここに展開する謎をはらむ神話的世界だ。
これからカラビンカたちのコスチュームに取り掛かる、まずは手前大島紬イカズチ柄のスカートから。
15 3月29日
漸く完成に近づいてきた。
トックリヤシの精(藍青と金)になった、難題が描き終わりここ何日かは脚立の上に住み込むようにして帽子を落とす「鳥人」、黄の柑橘類の実を取る男たちのいる青い「空舟」、どこからかやってきた大きな妙に整った紫のレンズ雲を相互の関係を留意しながら煮詰めた。
さらに画面上のキャラクターを動かす自由で恣意的な白+ウルトラマリンによるインパストなタッチを描き入れた(アキーラ)。
何に驚いたのか上手に少女たちと飛び去るカケスたちを描き入れる。
完成図「迦陵頻伽―春風来駕」200×350㎝
3枚組共シナベニアパネル+農業用マルチ/μグラウンド/テンペラ、油彩(アルキド樹脂)
トックリヤシの手前に杉の若木、その他、描き残したところに手をいれ完成としたが未完成部分が散見されている。
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