秋に向けて始動しました
2014.7.1
この春「よみがえりの木」(273cm×350cm油彩/テンペラ)と名付けた作品を制作した。
現在に至るまでまず描いたことのない構築物の中に群像を置いてみたのだが舞台設定の
構築物は昨年訪れたポーランド・クラコウ郊外のヴィエルチリ塩鉱の巨大地下空間を支える
梁や柱だった、描き出してみると絵画空間を横切る直線は画面と僕自身を支配し、思いも
かけない縛りを感じた。ある日必然のように画面には植物の群が出現し、描きながら呼気に
湿感を取り戻した。
地下闇のモチーフは必然的に強い光を求め一種バロック的な空間が成立した、暗さはふつう
青菫→藍→濃紺→漆黒とすすむが僕にとっては闇の中では先に見えなくなる臙脂を主体に
濃紺⇔臙脂(マルーン)の展開を考えてみた。人の循環的な生と死のサイクルは可視化された
深い闇の中でこそ生の意味を伝えるだろうから。
その闇の中に置かれた光源の下、少年と少女の間にまだあやうい樫の若木を置いた。
樫の若木を置いたその場所から今年の椿の個展は始めて見ようと思う。数年前から登場する少女、
少年や雲を掴む男、白鳥と共にいる男等のキャラクターたち、眠い町、青柳の話、カリブの森を孕んだ
物語など僕に隣接する日頃愛してやまない文学に寄り添いながら、光へそして闇へと漂いながら描いて
行きたいと思う。まあいつもと同じことを繰り返しの中から言葉の底へ降りて行きたいノデス。
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