11月11日午後3時、アコーディオン熊坂路得子、コントラバス齋藤徹と共に、ライブペインティングを始める。
三者とも全て即興での取り組みとなる。
私はなぜか馬の絵を描きはじめる。
荒馬を乗りこなす女性像を目指す。
単色によるドローイングより始める。
背景をブルーによって引き立たせることを試みた。
二人の力強い演奏に呼応してリズミカルに絵を描き進める。
最後にマゼンタの手綱を一気に描き、完成へと向かう。
完成図。
当日の出演者一同。
即興によるライブペインティング
小林裕児
観客のあついまなざしを背に受け非日常の「ハレ」の時間と空間に身を任せドローイングの線描に託し即興演奏者たちの時間が支配するパフォーマンスとのセッションを試みてきた。まずは目の前に拡がる平面の向こう側に向け長い棒に括り付けた刷毛で点苔を置き仮想の絵画の場を置く、その時点でほぼ真っ白な自分を確認することが出来る。ライブペインティングの場合、事前の余計な準備は場の空気に竿を指すというか頭の中の小人にイメージを借りるようで何か後ろめたいのだ。むしろ「エイ」とどこに向かうとも決まらぬうちに画竜点睛を置くことからから始めてしまった方が身体性を抱えた絵画の時空の中に身を置くことになるのだと思う。ちょっと無責任な言い方かもしれないけれどセッションによるパフォーマンスは演者、会場の空気そのものが僕の絵をどこかへ連れていってくれる、その意味で線的に連なる時間の中で立ち顕れる他の演者の音、会場のざわめきやちょっとした事故などはありがたい。それらはその場その時だけの出会いの高揚感を引き起こし目の前に立ち顕れる僕の絵に底知れない化学変化を引き起こすかもしれないのだ。
1999年以来毎年数回、様々な会場で音楽家、舞踏家、歌手、俳優と試みてきたパフォーマンスはもしかしたらはるか昔真っ暗なショベ洞窟の奥でクロマニヨン人たちが繰り広げてきたパフォーマンスへの先祖がえりかもしれないと思っている。
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