あの日津波に襲われ、泥濘と砂利にまみれ穴があき油に汚れボロズタになった布たち、しかしながら多くはしおみさん達の手で修復され舞台衣装に生まれ変わったという。
しかしなお被害の大きかった布たちが残った。
私は、日頃長い時の中ですりきれ切れ、色あせ、命を失いかけた布たちに促されるように日々小さなドローイングを試み数万枚を積み重ねてきた。
そんな私は命を一度失った彼らに出会ったときに初期衝動と言うべき感慨を覚えた。布たちを持ち帰った私はどんな断片も残さず描き続け数百の作品が生まれた。
彼らが少しでも新たな命を謳歌できることを望みつつ。
2018/2/24 小林裕児
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