一寸記憶が無いほどに久しぶりに自画像を描いた。はじめは旅先のホテルのメモ帳に備え付けのブルーブラックのボールペンで、もっと良く見ようと今度は自宅の鏡にでき得る限り顔を寄せて。結構汚くなっている表面のディテールを面白がって追いかけているうちに思い出した。自分の顔が嫌いだった。大体が大きすぎる。それに黙っていてもにやけた目元が長めの鼻の下とともに嫌いだった・・・そうだそれで髭を生やしだしたのだ。目元も嫌だ、それにしてもずいぶん目尻が下がった。顔色もよくない・・・人よりかなり広い額は一寸好きだったかも。
ふと何十年も自分の顔を殆ど見ていない事に気がついた。
2003 小林裕児